要件定義の必要性──ステークホルダーとエンジニアが共に歩む開発へ

こんにちは。デザイン・システム室の妻野です。

システム開発は、技術だけでなく「対話と理解」が求められる時代に入っています。

プロジェクトの成否を分けるのは、コードの品質ではなく、「要件定義の深さ」かもしれません。

本記事では、要件定義の本質的な意味と、エンジニアとステークホルダー双方がどのように関わるべきかを具体例を交えて解説します。

その前に、言葉の定義をさせてください。

ステークホルダーとは、エンジニアにシステム開発を依頼する関係者のことを言います。

例えば、弊社でいうと営業部やマーケティング事業部がそれにあたります。


要件定義とは何か?なぜ重要なのか?

要件定義とは、システムに求められる機能や仕様、非機能要件を明確化し、関係者の認識を一致させる工程です。
単なる「仕様書づくり」と捉えられがちですが、実際は「ビジネス課題の本質を探る対話の場」です。

この段階でのすれ違いは、実装後の「こんなはずじゃなかった」を生み、工数の増大・納期遅延・信頼の失墜につながります。


ステークホルダーも「システム側に寄り添う」時代

かつては「要件はビジネス側が決めて、エンジニアが作る」構図が一般的でした。

しかし現在は、業務とシステムが密接に関わり合う以上、ステークホルダー自身も「どのように作られるか」を理解し、柔軟に考える姿勢が必要です。

ステークホルダーの寄り添いとは?

  • システム的制約(例:リアルタイム性、DB構造)への理解
  • 実現可能性の相談に対してオープンである
  • 仮画面やプロトタイプへのフィードバックを惜しまない

エンジニアが「真意に気づく」とはどういうことか?

開発現場では、ステークホルダーが要望をうまく言語化できない場面も多く見られます。
そのため、エンジニアは「要求の奥にある本当の意図=Why」を読み解く役割を担っています。

具体例:受注システムのリニューアル案件より

👨‍💼ステークホルダー:「受注一覧でCSV出力できる機能がほしい」

初見ではありがちな要望ですが、ヒアリングを続けると以下の背景が見えてきました。

  • 毎週、営業部がExcelで特定商品の販売件数をまとめている
  • CSVは手段であり、「簡単に集計できるレポート」が本質的ニーズだった

結果、下記のような提案を実施:

  • フィルター+期間指定付きの集計画面
  • そのまま印刷・PDF保存できる機能付きダッシュボード

これは、あくまでも架空の例ですが、要望を鵜呑みにせず、
ステークホルダーの真意に気づくことがエンジニアには必要かもしれません。


要件定義は「相互理解のデザイン」である

要件定義を単なる「仕様を決める作業」ではなく、「目的を共有し、共にゴールを描くプロセス」と捉えることで、開発の質は劇的に変わります。

要件定義フェーズで意識すべき3つのポイント

1.Whyを聞く:「なぜそれが必要なのか?」を繰り返すことで、本質に近づける

2.仮説で返す:100%の理解がなくても、仮の仕様や画面を見せて会話を回す

3.共創のマインド:ステークホルダーとエンジニアが対等なパートナーである意識を持つ


まとめ

  • 要件定義は「システムに命を吹き込む設計図」
  • ステークホルダーも「作り方」に寄り添い、柔軟に要望を整理する必要がある
  • エンジニアは「要望の奥にある目的」を見抜く力が求められる

プロジェクトの立ち上げ時に、「一緒に良いものを作る」という意識で要件定義を始められるか。
それが、チームの生産性を左右する最大のポイントかもしれません。


さいごに

現在デザイン・システム室では、新しいメンバーを募集しています。
少しでも興味を持たれた方は、ぜひご応募ください✨💻
皆様からのご応募、心よりお待ちしております。